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  • 2021.01.04 Monday
  • -

十字の下から。

形をととのえておけば、

 

誰もうたがうことはない

 

こんなに美しいのだから。

 

ときたま

 

棺の中から

 

腐った指が

 

蓋をあけようとしても

 

十字が彫られたそのうえで

 

小さく、

 

静かにほほえめば

 

大変でしたでしょうに。

 

大勢の人が

 

ただ、ただ、通りすぎ

 

誰一人

 

気づきはしない。

ことば 黒澤優子

書   工藤亜紀

 


鏡。

痛くて、痛くて、うごけなくなった。

 

むしろ

 

それまで

 

平気で歩いていたというのに

 

どーしても

 

そこではなにかが育ってしまい

 

たくさんのガラクタが大きくなっていた。

 

そのうちのひとつ、

 

小さく光った

 

鏡には、

 

見たこともない男の顔が

 

うつっていた。

ことば 黒澤優子

書   工藤亜紀


ひだ。

遠慮がちに

 

血を吐きながら

 

小さな声でささやくそれを、

 

黙らせることはできない。

 

あわててポケットにかくすと

 

けっして誰にも

 

見つからないように、

 

しっかりと

 

錠をかけた。

ことば 黒澤優子

書   工藤亜紀


宙。

年老いたその女性は

 

銀色の小さな耳かきをもっている。

 

「すぐに、おわるわよ」

 

冷徹な声にしたがって

 

わたしは台にねそべった。

 

さん、にぃ、いち、、、

 

カウントを合図に

 

宇宙へとんで、

 

大きなうねりの中

 

わたし以外のものが、

 

どんどんかきだされて

 

大量の水とともに

 

わたしは、

 

もう一度

 

産まれるしかなかった。

 

ことば 黒澤優子

書   工藤亜紀

 


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